Dental Park HIROSHIMA

Child's & Adult mouth こどものお口・おとなのお口

お口の健康とこどもの成長
乳歯と永久歯のおはなし
ブラッシング実践編

小さい頃から毎日ずっと続けている歯みがき(ブラッシング)…。
実に、日本人の98%が毎日歯をみがいているにもかかわらず、むし歯や歯周病になってしまっています。
それは、せっかく頑張ってみがいているのに、実はみがけていないのが原因です。

お口の中の状態は一人一人違うため、「これが最良の方法!」というのもその人その人によって違います。
つまり、“あなたの歯をキレイにできるのは、あなたしかいない”ということ。

ちょっとしたコツさえ覚えれば、あなたの歯みがきはぐんとよくなります!
いまさら歯のみがき方なんて…と思わず、ポイントをしっかりおさえ、歯科医院でアドバイスを受けて、自分にあった磨き方で健康な歯と歯ぐきを守っていきましょう。

誕生

誕生

お口の発育のスタートは「授乳」

まだ歯のない赤ちゃんは母乳やミルクを飲んで育ちます。
そのとき使うのが口の周囲の筋肉やあごの筋肉です。
お腹いっぱいになるために、赤ちゃんは吸ったりかんだりして、自然と口のトレーニングをしているのです。
そしてそのうち、上下のあごで食べ物をつぶすことを覚えていきます。

授乳期

授乳期

授乳は母乳派?ミルク派?

母乳育児は、赤ちゃんにもママにもいいことがあるとは言われています。
しかし、育児用ミルクや哺乳瓶も品質が向上しています。
母乳かミルクで迷ってしまうかも、結論を言えばどちらも大丈夫です。
授乳スタイルは一つではありませんので、ストレスのないように選びましょう。

歯が生え始めたら

6か月になるとそろそろ下あごの前歯(乳中切歯)からはえてきます。
正しい食生活、歯みがきの習慣をしっかりつけていくことが大切になってくる時期です。

ブラッシングの習慣をつけよう

まだこの頃は自分で健康管理ができないから、歯みがきをすることを習慣化し、仕上げみがきをしてあげることを忘れないでほしいです。
ふだんからちょくちょく、こどもの口のなかをのぞき込んでもらいたいです。

乳歯の時期 

最近はほっそりした顔立ちの若い人が多いけれど、これは「かまない」ことが原因ともいわれています。
よくかむことは、あごの正常な発達につながり、しっかりした顔立ちをつくります。
あごが未発達だと歯並びが悪くなったり、かむ力が弱いってことはむし歯の原因にもなったりします。

規則正しい食生活を心がけよう

甘いものを好きなだけ与えて、「乳歯だからまだ歯みがきはマジメにやらなくていいや」なんていうお母さんのもとで育ったこどもの口のなかは…ほら、もうすでにむし歯天国!
おやつの時間を決まった時間にしたり、砂糖を含む食品の摂取をコントロールするなど、食生活をしっかり管理しましょう。
さらに、親がきちんとこどもの口腔清掃をしてやるなど、お口の健康もしっかり管理していれば…むし歯はゼロ!
しかも歯みがきの練習が親子のいいスキンシップになって、笑顔のたえない明るい家庭に。

よくかむ運動を心がけよう

幼児のときからよく噛んで食事をし、あごの成長を促すことや口周りの筋肉を鍛えることはとても大切です。
柔らかいものばかり食べていたり、早食いをしていると咀しゃくの回数が減り、あごをしっかり使わなくなってしまいます。
するとあごの骨や筋肉が十分に発達せず歯並びが悪くなる可能性が高ります。
食生活を整え、栄養バランスの良い食事を摂ることを心がけましょう。
ひとくちで30回以上噛むことを目標とした「噛ミング30(カミングサンマル)」運動を行うことで、脳への血流が増え脳の働きが活発化します。他にもあごの発達や肥満防止などさまざまな効果が認められています。

3歳で20本の乳歯 

生後19ヶ月から31ヶ月(1歳7ヶ月から2歳7ヶ月)の間を「感染の窓」といい、むし歯菌が口の中に感染し定着しやすい時期です。
乳歯の奥歯が生えてきて歯磨きが難しくなったり、糖分の多い食事や間食を摂る機会が増えたり、イヤイヤ期で歯磨きすらさせてもらえなかったりしますが、お家では仕上げ磨きをしっかり行ってもらい、歯科医院では定期健診を受けたり、保護者の方も口腔ケアをすることでこどもたちへのむし歯菌の感染リスクを減らしてあげることができます。

3~4カ月を目安に定期健診を受けよう

乳歯は永久歯に比べてむし歯になりやすく、進行も早いため、あっという間に大きくなってしまいます。
これを予防もしくは早期発見・早期治療をするためには、できれば年に3~4回の歯科健診を受けると良いでしょう。
乳歯のむし歯を「そのうち抜けるから」と治療をせず放って置くと、その後から生えてくる永久歯に白い斑点や茶色い窪みができていたりと、出来上がりが不完全なまま生えてくることがあります。
その部分はむし歯になりやすかったり、見た目が悪かったりするため、むし歯があるときは乳歯のうちからしっかり治療をするようにしましょう。
歯科健診を定期的に受け、歯の清掃、歯磨き指導、フッ素塗布、むし歯ができたとしても早期治療を行い、健康な口を保つことで食事も美味しく食べることができ、健やかに成長できます。

4~5歳 

指しゃぶりは生後2~3ヶ月でその傾向が見られ、成長するにつれて自然にしなくなっていきます。
日本小児歯科学会によれば3歳ごろまででしたら無理に指しゃぶりをやめさせる必要はないとされています。

指しゃぶりは集中力ダウンに

しかし、4歳を過ぎても頻繁に指しゃぶりをしている場合は対応が必要です。場合によっては歯並びやあごの発育に悪影響が出てしまうこともあります。
無理にやめさせたり、指しゃぶりを否定したりすることは逆効果となるので、まずはかかりつけの歯科医院に相談をするようにしましょう。
長期間指しゃぶりが続くと歯並びやあごの発育の悪化や口が開いた状態が癖となることから、口呼吸となってしまうことがあります。
口呼吸となるとお口が乾いて、むし歯や歯周病のリスクが高くなったり、口臭や発音にも悪影響が出ます。
また睡眠時無呼吸症候群となり日中の集中力が低下してしまうことが考えられます。

鼻呼吸で元気な体に!

鼻呼吸にはウイルスや花粉、ホコリなどの異物の侵入を防いでくれる機能がありますが、口呼吸にはそれがないため風邪やアレルギー疾患にかかりやすくなってしまいます。
また鼻呼吸は口呼吸に比べて睡眠の質が良くなり快眠につながります。
鼻呼吸を意識して病気知らず、元気な体を手に入れましょう。

乳歯と永久歯の生え変わり期 

6歳前後になると下の前歯の乳歯がグラグラしてきて、永久歯が生えてきます。
生える時期や順番に個人差があり少しずつ生え変わっているのなら問題はありません。

口の中をのぞいてみて!

生えかけの永久歯はまだ弱く、むし歯になりやすいです。
適切なブラッシングや規則正しい食生活、フッ素塗布、溝を予防的に樹脂で埋めてしまうシーラントといった方法でむし歯から予防して守ってあげましょう。

乳歯にむし歯があったり、抜けないまま次の永久歯が生えてきたり、指しゃぶりや口呼吸といった癖があると歯並びが悪くなる可能性があります。
少しでも違和感を感じたら痛みを感じるまで待たずに、かかりつけの歯科医院で診てもらうようにしましょう。

乳歯と生えかけの永久歯が混在しているとき、歯ならびの悪いところなどそれぞれブラッシングの仕方が違ってきます。
かかりつけの歯科医院で適切な歯磨きの仕方を教えてもらい、自分にあったブラッシングをして健康なお口を維持しましょう。

小学生から中学生、高校生へ 

口の健康は生活習慣病と密接な関係があります。特に歯周病は糖尿病や動脈硬化、アルツハイマー型認知症など多くの全身疾患と関連を持つと言われています。
おとなになってから後悔しないためにも、小さいころから食事・運動・健康などを意識した生活習慣の基礎作りをしていくことが重要です。 

こんなに差が出てくるの!?

食べることは生涯の楽しみです。いつまでも美味しく自分の歯で食事をとるためには、小さいころからの毎日の丁寧な口腔ケアと定期的な歯科健診が大事です。
なんでも相談できるかかりつけの歯科医院をもち、80歳で20本の歯を残す8020を目指して口の健康を維持していきましょう。

かめない子

歯並びが悪くて、歯が重なっているとむし歯になりやすいです。
プラーク(歯垢)も残りやすく、口臭の原因にもなります。

かめる子

健康な歯でなんでもおいしくかめて、集中力バッチリ、学力もアップします。
いつも笑顔の明るい毎日を過ごせます。

乳歯だからといってあまく見ちゃダメ!

乳歯のむし歯は永久歯のむし歯に比べて、急速に進行してすぐに神経にまですすみます。 それに、いっぺんにたくさんの歯にむし歯ができます。
乳歯の下では永久歯がつくられている。この大切な時期に、乳歯のむし歯がひどくなって歯胚(永久歯をつくる器官)にまで広がると、その永久歯はいびつな形になってしまいます。

乳歯だからといってあまく見ず、何もなくても定期的に歯医者さんに行きましょう!

乳歯と永久歯の間で…

こどもも6~9歳ぐらいになると、お口のなかに乳歯と永久歯が混在してきます。同時に食生活も乱れやすくなってくる時期なので、むし歯、歯肉炎、歯列不正などにはくれぐれも注意を払う必要がでてきます。
小学生の頃に1本1本の歯を大切にすることが必要です。
今後の永久歯の使用年数を考えれば、早期治療、予防治療が大切です。

八重歯はチャームポイント?

わが国では歯並びを正すことが大切だと考える人が増えてきています。
歯並びが悪いまま放っておくと歯みがきが難しくなり、歯並びが悪いまま、むし歯や歯周病になる可能性が高くなります。
同様に出っ歯や受け口だって、放っておくといろいろ不都合が生じてくる可能性があります。

矯正はどうして必要なの?

見た目を美しくするだけでなく、矯正には機能性の回復という大きな意味があります。
歯並びが悪いと、むし歯になりやすいことはもちろん、発音が正しくできない、咀嚼障害が起こりやすい、顎関節症を起こしやすい、あごの成長に異常をきたす、引け目や劣等感を抱きやすい…と悪いことだらけです。
矯正はむし歯の治療と違って長期戦になるけれども、それによって明るく楽しい人生がゲットできるので、根気よくがんばりましょう!

さっそく子供をチェック

保護者の方は、こどもの口の中、観察していますか。
自分のこどもの口の中に、いま何本の乳歯と永久歯が生えているのか知ってる?
生涯ずっと健康な歯と歯ぐきでいられるための第一歩を家族の手で守ってあげましょう。

むし歯が全身をむしばむ!

「蝕(むしば)む」という言葉には、「むし歯」が隠れています。
歯がむし歯菌に侵されると、全身の健康に悪影響を及ぼすことは良く知られてますよね。
いい歯でよくかむことは、健康の入り口!悪い歯は病気の始まり!

家族と自分が行うチェック(セルフケア)と、かかりつけの歯科医院でのプロフェッショナルケアでこどもの歯をむし歯菌から守りましょう!

“入試”以前に“乳歯”が問題

赤ちゃんの下あごに初めて生えてきた2本の乳歯…感動的ですよね。
でも、母乳やミルクばかりでなく、離乳食を経ておとなと同じものを食べられるようになるということは、むし歯菌に侵されるスタートでもあります。残念ながら、乳歯が生え揃うころ、もうすでに前歯や奥歯がむし歯になっているこどもたちもいます。

2本の乳歯が生えたらオーラルケアの始まりです。
ガーゼで歯の表面を拭き取る赤ちゃんには、哺乳ビンで乳酸飲料を与えない、クチュクチュうがいを覚えさせる、歯ブラシが使えるようになっても仕上げみがきはおとながチェックする…。
むし歯のないこどもに育てるためには、親の努力と、かかりつけ歯科医院での定期的な健診が重要です。

プラーク(歯垢)をやっつけろ

むし歯の原因「プラーク(歯垢)」は、鎖のように頑固に歯にこびりついています。
しっかりみがかないと落ちません。

プラーク(歯垢)は、細菌とその細菌が出すネバネバしたもの(デキストランなど)のかたまりです。
なので、歯の表面にくっつきやすく、簡単にはとれません。プラーク(歯垢)の中のむし歯菌は、食べ物に含まれる糖分を分解して酸をつくり、この酸によって歯の表面がじわじわと溶かされ、むし歯になります。
しかも、プラーク(歯垢)は歯と同じような白っぽい色なので、ついつい見過ごしがちです。そこが怖いところで、少しでもみがき残しがあると、プラーク(歯垢)の中の細菌はさらに増えてしまいます。

毎日の正しいブラッシングが、プラーク(歯垢)の恐怖からこどもの歯を守ります。かかりつけの歯科医院でそれぞれにあった正しいブラッシング法を教えてもらいましょう。

歯のカタチは3つ、それぞれ役目をもっている

平たく薄い前歯(切歯)、とがった犬歯(糸切り歯)、大きくて平らな臼歯(奥歯)…。

なぜ人間の歯には3つのカタチがあるのでしょう。
それは、かみ切るのが前歯、肉などを引き裂き、食いちぎるのが犬歯、そして、口の奥のほうに送られた食べ物を細かくすりつぶすのが臼歯と、それぞれの役割があるからです。
つまり、人間とは野菜も肉もなんでも摂取して生命を維持している動物なのです。

食べるとき、口の中では上下のこれら全ての歯が、筋肉や舌の動きに合わせて食べ物を唾液と混ぜ、消化の第一段階をつかさどっています。
どこか1本でも欠けたり、歯並びが悪くて食べ物がよくかめないとなると、身体に必要なものをおいしく食べられません。そんな食生活が身体の健康をむしばんでいきます。

健康な身体を維持するのは、健康な歯とそれを支える歯ぐきです。歯の大切さをこどもに教えてあげてください。

溝にポテチ詰まったことない?

前歯には溝(みぞ)はありませんが、奥の歯ほど多くの溝が刻まれていて、かつ複雑になっています。
この溝は食べ物をかみ砕き、すりつぶすという奥歯の役割のためには効果的ですが、その複雑な構造のためプラーク(歯垢)もたまりやすく、むし歯の多発ポイントになってしまいます。
特に、6歳の頃、乳歯のすぐ後ろに生えてくる第一大臼歯(六歳臼歯)はむし歯菌に狙われがちです。生え揃うのに1年もかかり、他の歯よりも背が低く、しかも一番奥にあるので歯ブラシの毛先が届きにくいことに加え、生えてきた頃はまだ組成が軟らかいため、むし歯菌の格好の餌食になります。

フッ素を塗布して歯質の強化をはかったり、シーラントという処置でその溝を埋めることにより、むし歯菌をシャットアウトすることも可能です。

かかりつけの歯科医院で、一度詳しく相談してみてはいかがでしょう。

歯ごたえのある愛情

最近、あごが未発達であるため、歯並びが凹凸のこどもが増えています。その原因のひとつに、今日の食生活からくるあごを使わなくなった食事習慣があります。
現代の食べ物は軟らかい加工食品が多く、よくかまなくても飲み込めるため、かむ回数とかむ力が減少しています。
「かまない」から「かめない」、「かめない」から「かまない」、こうした悪循環で、あごが力不足・運動不足になっていきます。

こどものあごの成長を考えると、適度にかみごたえのある食品を毎日の食卓に出すことが大事です。あごの発育や歯並び、全身の健康に与える影響を考えると、 “歯ごたえのある食べ物”を食べる(=食べさせる)ということが、大切となります。もちろん、いつも同じようなものばかりではなく、多品目をしっかりかんで食べられるメニューをこどもの毎日の食事に考えてあげてほしいです。

一日の食事で30品目、一口30回かむことは、成人病(生活習慣病)の予防にも大切なポイントとなります。

また、食べ物を小さく切るほど、かむ回数は減少し、8等分するとあごの運動量は約40%減少するといわれています。食べ物の切り方をちょっと工夫することでも、歯ごたえを感じさせることができます。
丈夫なあごや歯は、よくかむことで育ちます。食べ物の素材と調理の仕方で、「歯ごたえ」のある食べ物を食卓にのせて下さい。

こどもでも石を持っている

プラーク(歯垢)と並ぶやっかいなものに、“歯石”があります。歯石は知っているけど、まさかこどもに歯石がつくなんて…。
実は、小・中学生の20%以上に歯石の沈着がみられます。歯石とは、プラーク(歯垢)に唾液中のカルシウムイオンなどが結合してできる硬い物質で、一度、かたまってしまうと、歯ブラシだけでは落とすことはできません。
歯と歯ぐきの間にたまりやすく、歯ぐきを刺激して腫れや出血を起こす「歯肉炎」の原因になります。
歯肉炎の予防と、歯と歯ぐきの健康を守るためにも3,4カ月を目安に定期健診をおすすめします。

おしゃれの基本、ポケットにはものを入れない

歯と歯ぐきの間のすき間にプラーク(歯垢)や歯石がたまるとできるのが“歯周ポケット”と言います。
歯周ポケットがつくられると、殺菌作用のある唾液や歯ブラシの毛先が届きにくく、プラーク(歯垢)や歯石のたまりやすい場所となります。
ブラッシングを怠ったり付着物をそのままにしておくと、細菌が繁殖してむし歯や歯ぐきの炎症(歯肉炎)、さらには歯周病の原因になります。

歯周病はおとなの、それもお年寄りに多い病気だと思っていませんか?実は、歯周病は若い人にも起こります。実際10歳~14歳の40.2%に歯茎の炎症がみられたとの報告があります。(令和4年歯科疾患実態調査)

歯周病の一歩手前を歯肉炎といいますが、歯ぐきが赤く腫れたりする症状は、正しいブラッシングで改善したり予防することができます。こどもの歯ぐきの健康状態を、一度かかりつけの歯科医院で診てもらい、正しいブラッシング指導を受けましょう。
お口の健康の基本は、お口の歯周ポケットにはプラーク(歯垢)や歯石をためないことです。

食べる歯ブラシ、食べたら歯ブラシ

繊維質の食べ物には、かむことでそれ自体が口の中をきれいにする働きがあります。つまり、自然の歯ブラシの役割をしてくれます。
こどもの歯肉炎の原因の一つが、軟らかい食事が増えてこどものかむ力が弱くなり、プラーク(歯垢)が付きやすくなったことや、歯ぐきが鍛えられないことがあります。繊維の多い野菜や、かみごたえのある食べ物を摂ることが大切です。

食物繊維は必須栄養素として体内で重要な役割を果たすだけでなく、健康な歯と歯ぐきを育てるためにも欠かせません。よくかむことで、歯の土台になる歯ぐきが鍛えられます。
もちろん、おいしく食べた後は、歯みがきを忘れないようにしましょう。

おやすみは、はじまり

唾液には殺菌作用があり、口の中の細菌の活動を抑えたり、汚れを洗い流したりする働きがあります。起きている昼間は充分な量の唾液も、眠っている間はその分泌量が極端に減少してしまいます。つまり、人が眠る夜はむし歯菌にとっては格好の活動の舞台となります。

寝る前の歯みがきがどうして大切なのかを、おとながこどもに教えてあげましょう。
プラーク(歯垢)をきちんと落としておかないと、眠っている間にむし歯が進行してしまいます。

おしくらまんじゅう、とびだした

永久歯は、6歳頃から12歳頃までの6年間でほぼ生え揃います。乳歯よりも大きく本数も多い永久歯をきれいに並べるために、この時期はあごの骨も著しく成長を続けます。
ところが、軟食嗜好の現代人では、あごが未発達なために歯並びが乱れるこどもたちが増えています。
歯並びが悪いと、ちゃんとものをかめないばかりでなく、全身の健康にも悪影響を与えます。また、発音や審美性、心理面での影響も見逃せません。
丈夫なあごをつくる基本は、毎日の食生活です。好き嫌いなく、なんでもよくかんで食べることがあごの発育につながります。

フッ素VSキシリトール

むし歯を予防する方法には大きく分けて3つあります。

第1の方法は、むし歯にならないように歯質を強化する方法で、この代表がフッ素です。

第2の方法が、むし歯菌の住んでいるプラーク(歯垢)を除去する方法で、これにはブラッシングや補助的に使用される歯みがき剤などがあります。

そして、第3の方法はむし歯菌のエサになる砂糖のとり方を変える方法。
これには糖質の種類としてむし歯菌が利用できないような代用甘味料といわれるものがあり、最近ではキシリトールが注目されています。
それでは、ここでむし歯予防に関係するフッ素とキシリトールについて、その性質や効果と注意点について勉強してみましょう。

フッ素って何?

フッ素は自然界にも存在し、わかめ、海苔、魚介類、小魚などの海産物やお茶の葉に多く含まれている歯を丈夫にする物質です。
フッ素がむし歯予防に使用されるようになったのは今から60年程前のことで、フッ素液を直接塗る、スプレーする、フッ素入りの歯磨き剤・うがい薬などを使用する方法があります。

海外では、飲料水に加えたりしている国もあります。

フッ素の効果は?

①歯の質を強化する
歯の表面のエナメル質を構成する「ハイドロキシアパタイト」の結晶の中の水素イオンに代わってフッ素が入ることにより、酸に抵抗のある「フルオロアパタイト」を形成し、エナメル質の酸への抵抗力を強める働きがあります。酸に溶けにくくなりますよ。

②歯の修復をすすめる
初期むし歯で溶かされた表層のエナメル質を、再石灰化(元に戻す働き)する力を促進する働きがあります。

③プラーク(歯垢)の生成をおさえる
フッ素がプラーク(歯垢)を作るのを防いでくれる働きがあります。

④こどものむし歯予防に効果的
こどもたちは歯質が未熟なのに甘いもの好きで、むし歯になりやすいのにプラーク(歯垢)の除去がしにくいものです。正しいブラッシングの習慣づけが第一ですが、フッ素を用いることで、かなりの効果が期待できます。もちろん、おとなにも効果があります。

フッ素の注意点は?

フッ素は、かなりのむし歯予防効果が期待でき、世界中で使用されその効果も認められています。
しかしフッ素の主な効果は、“歯自体を丈夫にする”という事で、“プラーク(歯垢)を除去”してくれるわけではありません。毎日のブラッシングを怠り、フッ素液に頼るだけでは、本末転倒となりますので、フッ素をキシリトール同様、ブラッシングの強力サポーターとして上手に使用しましょう。
しかし、フッ素を過剰摂取すると、副作用が現れることがあります。適量を適正に使用するために、一度かかりつけの歯科医院と相談してみましょう。

キシリトールって何?

キシリトールはプラム類などの果実にも含まれている天然甘味料です。
白樺や樫などの樹木からとれるキシランを還元し製造したもので、ソルビトール、マンニトールなどと同じ糖アルコールです。
糖アルコールの中では最も甘く、甘さは砂糖と同程度ですが、むし歯の原因にはなりません。インスリンに影響を与えないため、糖尿病の患者の甘味料として使われていました。

キシリトールの効果は?

むし歯・歯周病のもと、プラーク(歯垢)を減少させる
細菌の大集団プラーク(歯垢)のネバネバ(水溶性グルカン)が作られなくなり、プラーク(歯垢)が減少し、その中に隠れていたむし歯菌も減少します。また、むし歯菌により発酵しないので、歯を溶かす酸を作ることを阻害し、むし歯の進行を止めるだけでなく、長期にわたって使用することで、むし歯菌の活性を弱めむし歯予防にも効果的です。

また、唾液の分泌を促し、歯の再石灰化を促進させます。
ガムでキシリトールを摂る場合、かむことにより唾液の分泌が促進され、唾液に含まれるカルシウム、リン酸が歯の再石灰化を活発にします。また、唾液は発がんをおさえるなど、他にも自然の万能薬として働いてくれます。

糖尿病の人でも比較的安心して摂取が可能となりますが、取りすぎには注意が必要です。
キシリトールを摂取すると、小腸から身体に吸収され、代謝するときにインスリンに頼らないため、糖尿病の人でも使用し易いです。FAO(世界食料農業機関)、WHO(世界保健機関)合同の規格委員会より、「一日の許容摂取量を限定せず」という最も安全性の高いカテゴリーとして評価されています。まれに、過剰摂取(20~30g/1日以上の使用)で下痢が起りやすくなることがあるので、下痢が続くようなら、一時摂取を止めましょう。(通常の使用量なら5~6gになるはずです)

キシリトールの注意点は?

カロリーは3.0kcal/g(砂糖は4.0kcal/g)あり、決して低カロリーではありません。いくらむし歯にならないからといって、食べ過ぎればカロリーオーバーになってしまいます。
値段は砂糖の約10倍と言われており、100%のものは値段が高いため、日常の習慣とする場合には、店頭で含有量が多いものをチェックしましょう。
しかし、値段が高くて100%は無理な以上、ほとんどの商品には他の甘味料も含まれいます。その中でも特に注意を要するのは、「砂糖」「水あめ」の表記のものです。せっかくのむし歯予防用キシリトールも、むし歯を作り出す砂糖が含まれていれば効果はありません。
基本的にプラーク(歯垢)は、ブラッシングによって減少されるため、キシリトールを口にすれば大丈夫と思うのは大きな間違いです。

道具を選ぼう

一流の職人は、その材料や道具にもこだわります。

最近の健康志向ブームにより、口の健康を守るオーラルケアグッズも店頭にあふれています。
口の中の状態や生活習慣は一人一人違います。
むし歯や歯周病の予防には、自分に最適のオーラルケアグッズでしっかりプラークコントロールをすることが大切です。

なぜみがけていないの?

舌をゆっくり動かして歯を触ってみましょう。
歯並びのいい人でも、口の中は意外とデコボコしているのがわかるでしょうか。歯は平面ではないんです。デコボコの引っ込んだところが歯みがき(ブラッシング)でみがき残しやすい場所なんです。具体的には、かみ合わせのミゾのところ、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目などです。

かかりつけの歯科医院で正しい歯みがきの方法を教えてもらったことのない人は、たいてい強い力で歯ブラシを大きく速く動かしてみがいています。歯ブラシを大きく動かすと、でっぱっているところはとてもきれいになるけど、引っ込んでいるところには全く歯ブラシがあたらないんです。歯ブラシのあたっていないところは汚れがたまりっぱなしになって、むし歯や歯周病の原因になっていきます。